ブログ

「生まれてきてくれてありがとう」

2017年7月19日

 

 

 

 

 

 

 厚生労働省は6月2日、2016年に生まれた子どもの数(出生数)が97万6979人となり、人口動態統計を取り始めた1899年以降、過去最少になったと発表しました。出生数が100万を割ったということで驚きです。助産師として、生まれてくる赤ちゃんが減っているのは残念に思います。

 先日、将来の父親・母親になる小学生達へ、「生命の出前授業」に助産師2名で行ってきましたので紹介します。

テーマは「わたしの成長」、小学5・6年生300人余が一生懸命聞いてくれました。まずは助産師の仕事についての紹介。新しい命が生まれる現場は、喜びや幸せに満ち溢れていてとても素敵な仕事。でも悲しいこともある、生まれない生命にも寄り添わないといけない仕事だと紹介します。

本題では、生命のつながり(受け継がれてきたいのち)、生命の始まり(卵子と精子の出会い)、お腹の中での赤ちゃんの成長(胎盤・羊水・へその緒の役割・胎児心音)、妊婦体験の感想、出産について(母と児の頑張り・産声)、赤ちゃん抱っこ体験、大人になる準備が始まっている、みんな大切な生命(相手の気持ちを考えた行動)、自分の身体は自分だけのもの(プライベートゾーン)、生まれてきた自分に自信を持とうとまとめます。

話だけでは伝わらないので、受精卵の大きさの穴あき折り紙や胎児人形を使ったエプロンシアター、男性教諭の妊婦体験、小学生の赤ちゃん人形抱っこ体験を取り入れ、パワーポイントでの動画や映像、産声の音響なども使い、45分間の授業を実施しました。

 

 

 

 

 

 

生徒の感想

・生命が生まれてくるまでに、こんなにいろいろなことがあるのだということを教えてもらい、これから自分の生命を大切にし、お母さんとお父さんに感謝しようと思います。

・赤ちゃんが生まれた時の泣き声はとても大きくて印象に残りました。

・みんなのいのちは決して無駄ではないこと、生まれるのは当たり前ではないこと、お母さんの苦労があってからこそ今の自分たちだということ、ご先祖様たちがいなければ今の私はここにいないということを改めて感じました。

・お母さんとお父さんが、とても大切に育ててくれていること、生まれてきた時うれしくて幸せな気持ちだったことが印象に残りました。

・僕は話を聞いて感動しました。何億と作られる精子の中で、わずか1個だけが結びつき受精するなんて、とてもすごいです。残された精子は死んでしまうので悲しいです。人は必ず生まれることが出来るわけではありません。生まれる場所も選べません。でもこの場所に産んでくれたお母さんに感謝しています。

・私たちが生まれてくることは奇跡であり、すごいことだとわかりました。

・折り紙を使って、生命の最初の大きさを説明してもらったのでわかりやすかった。

・つわりの大変さや赤ちゃんが生まれてきたときの嬉しさがよくわかりました。

・自分のことが嫌になり「死にたい」と言ったことがあったので親はとても傷ついたのだなあと思いました。これからは親を悲しませる言葉は言わないようにしたいと思います。

・お母さんには言わないけれど、お父さんに「うるさい」「ウザい」と言っていたので、お父さんにも感謝したいです。生まれる事は当たり前ではないことが分かりました。

・ものすごくつらいことがあって死にたいと思っても、母が苦しい思いをして産んでくれた生命だから、大切にしようと思いました。生命のありがたみが分かったのでこれからは他人を傷つけたりしないようにします。

・赤ちゃんを抱っこしました。とても重かったです。抱っこしてみていのちの重さを感じました。

・精子はどうやって女性の体内に入るのですか。インターネットで「女の人と男の人が結ばれる」って書いてあったけど、どうやって結ばれるのかが分かりません。

 

 

 

 

 

 

 

先生の感想

・自分の命を大切に思えない子が増えています。今日の話を聞いて、自分の命の大切さや親への感謝について考えさせられたようです。私自身、性教育について苦手意識や難しさを感じていましたが、その根本が生きるということであり、いのちの教育であるということを学べたことは、今後の教育・指導に生かせると思います。改めて考えてみると、当たり前すぎて忘れてしまいがちなほど本当に大切なことであることを感じました。自分が感じた気持ちを子どもたちにも少しでも伝えられたらと思います。

・自分は子どもの出産に立ち会えなかったので、涙が出そうでした。子ども達には自分の子の思いもはなせたらと思っています。

・学校での指導には限界があるので、生命の誕生の現場にいらっしゃる助産師さんのお話は子ども達にとって、とても印象に残るお話だったと思います。

・生命の誕生から人権に関することまで幅広く伝えてくださったなあと感謝します。この時期の子ども達に最も必要で大事な内容でした。

・「かけがえのないもの」「自分で決めて生まれてきた」などキーワードとなる言葉がしっかりと子どもたちに伝えられていたので、それぞれの子どもに響く部分があったと思います。

 

 

 

 

 

 

出前授業を終えて

子ども達からのたくさんの感想から、助産師として伝えたかった内容を一つ残らず受け取って貰えたことが分かり、とても嬉しく思えました。世界でたった一つしかない自分の「いのち」を大切に生きて欲しいと願うばかりです。また、妊婦体験の先生からの感想から「妊婦さんの気持ちがよくわかりました。体が重いけれど、これは命の重さなのですね」ステキなことばをいただき感謝・感激でした。     助産師 H

 

 

鹿児島の産婦人科 柿木病院 〒892-0846 鹿児島県鹿児島市加治屋町15-3 電話/099-224-3939
アクセス/高見馬場電停、徒歩2分 駐車場/敷地内敷地場・第二駐車場(当院と道路を挟んで向かい側)

Copyright © 2011-2023 KAKINOKI HOSPITAL All Rights Reserved.

ページトップへ戻る