ベストドクターズ 波多江の部屋

現在の不妊治療成績(生児を得る確率)は約25%

2017年12月26日

現在の不妊治療成績(生児を得る確率)は約25%

 −更なる成績上昇をもたらす探索的研究—

 

不妊症の定義は、適切な性行為がなされている状態がありながら、妊娠に至らない状態のカップルに対する病名です。

 

妊娠に至らない原因は軽度のものから重度のものが含まれている事は、容易に想像できますが、現代の不妊治療の平均的成功率、即ち生児を得ることの出来る確率はおおよそ25%です。

排卵があり、精子の數と活動力が十分で、なおかつ卵管の通過性が確保されているカップルでは、タイミング法で妊娠に至る最もハードルが低い治療と言えます。

 

卵管の疎通性に問題をもつ方、排卵障害の治療、着床障害などの克服をしても、中には顕微授精、体外受精をして子宮腔に戻して着床をもたらすIVF-ETまでが現在の不妊治療の段階的な手法です。

現代の出産の20例に1例が、このIVF-ETによっている現実が報告されるに至っています。

色々なレベルの不妊の原意でも、治療に難渋して成功に至らなければ、IVF-ETの対象と成っていく可能性があり、結果的に高度の不妊治療のテリトリーが広がっているのが現状です。

 

しかし、その妊娠率が25%程度に留まっているという現実は、なかなか原因が特定できないという現実が横たわっていることを示しています。

 

最近は、高度の生殖補助療法でも受精卵の一部の細胞を採取して、その遺伝情報が検索できる様になりつつあります。

更には世界の生殖医療の先進国の一部では、受精卵の一部の細胞を取り出す事なく、胚盤胞という一定のレベルまで成長した構造体の中に細胞を含まないDNA/RNAを採取して、同じような検索が出来る様になりつつあります。

日本では限られた研究的施設で勧められる様になると思われます。

 

不妊症治療の不成功の中に一定の確率で遺伝子レベルの異常が関わっている事が分かって来ているのです。

受精卵を複数得て、それぞれ一個の細胞から、或は細胞から放出されたDNA/RNAの一部分を使って、遺伝子異常を伴わない卵子を選択して子宮内に戻すという方法が取り入れられることに向かっていくものと思われます。

 

高度な生殖補助医療の更なる成績の向上の為には、妊娠とその継続が出来ないほどの異常を有する卵子を除き、良好な卵子だけで治療をするという道が開かれようとしています。

 

この辺りの研究は倫理性の高い問題を含んでいるので、慎重に進めていくことが必須です。

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